ばらまかれた三百元は…

ある夜。八時二十分　瀋陽のある通り、駅の近くにたっていた一人の精神異常ともいえる若い女性が、肩にかけたバックからピン札一束を取り出すと、空にばらまき、そしてこともなげに去っていった。ちょうど通りかかった長髪の若者が、すぐにほかの通行人をひきとめて言った。「きみは急いで金をひろってください。ぼくはあの女性を追いますから」「じゃ、はやく、おれの自転車で」引き止められたその背の高い青年は、自分の自転車を...