一羽毛のような雪が降りしきる川岸の公園で、ベンチに腰かけて身動きもしない男がいた。大雪で道も川もとざされ、町は銀世界、誰もいない公園で男はもう一時間以上もじっとしている。頭も肩も真っ白になり、なかば埋もれた靴に雪が入りこんで、足の感覚もなくなっているのに動こうとしない。周囲の白一色の世界は男には見えない。美しい光も色もはるかな記憶と想像の中だ。目の前にあるのは、深い闇だけ。この男は失明しているのだ...
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一羽毛のような雪が降りしきる川岸の公園で、ベンチに腰かけて身動きもしない男がいた。大雪で道も川もとざされ、町は銀世界、誰もいない公園で男はもう一時間以上もじっとしている。頭も肩も真っ白になり、なかば埋もれた靴に雪が入りこんで、足の感覚もなくなっているのに動こうとしない。周囲の白一色の世界は男には見えない。美しい光も色もはるかな記憶と想像の中だ。目の前にあるのは、深い闇だけ。この男は失明しているのだ...