春秋時代(前七七〇~前四七六)のことである。孔子の高弟曽参は、父親によくつかえ、親孝行として世に知られていた。父親は生前、羊棗(しなのがき)を食べるのを好んだ。父親が亡くなったあと、曽参は羊棗を見るたびに、父親のことが思い出されて、それからは羊棗を決して食べようとしなかった。これは儒家の間で美談として伝えられた。のちに、孟子の弟子公孫丑がこのことについて孟子に聞いた。「膾炙(なますやあぶり肉)と羊...
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春秋時代(前七七〇~前四七六)のことである。孔子の高弟曽参は、父親によくつかえ、親孝行として世に知られていた。父親は生前、羊棗(しなのがき)を食べるのを好んだ。父親が亡くなったあと、曽参は羊棗を見るたびに、父親のことが思い出されて、それからは羊棗を決して食べようとしなかった。これは儒家の間で美談として伝えられた。のちに、孟子の弟子公孫丑がこのことについて孟子に聞いた。「膾炙(なますやあぶり肉)と羊...