悠々たる大地がはるか遠く山のふもとまでひろがり、農民は耕作にいそしんでいる。鋤をおろして汗を拭いながら大樹の下で一休みしている農民が見える。すると、その人はふとなにか思いだしたかのように、木の葉を数枚取ってはその上に筆をはしらせ、書き終えると、それを大事そうに罐に収めた。この人物がほかならぬ陶宗儀その人である。彼は進士の科挙に挑戦したが、失敗し、その後松江(現上海市呉淞江以南)に赴き、そこで隠遁生...
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悠々たる大地がはるか遠く山のふもとまでひろがり、農民は耕作にいそしんでいる。鋤をおろして汗を拭いながら大樹の下で一休みしている農民が見える。すると、その人はふとなにか思いだしたかのように、木の葉を数枚取ってはその上に筆をはしらせ、書き終えると、それを大事そうに罐に収めた。この人物がほかならぬ陶宗儀その人である。彼は進士の科挙に挑戦したが、失敗し、その後松江(現上海市呉淞江以南)に赴き、そこで隠遁生...