影法師

生まれつきおろかで臆病な人がいた。涓蜀梁という。ある日のこと、夜道を急いでいた。明るい月光を浴びて黒々とした彼の影が地上に映った。影は、彼が歩むにつれて動いた。ふと、頭を下げた彼は、そばに真っ黒な影が映っているのをみて、鬼がぴったりとついているのではないかと、こわくなった。そして、頭を上げたところ、自分の頭の毛がゆらりと動いているのを見た。そこで、急いでひき返して家へ向かってかけだした。息苦しくな...