冬のあいだねむりつづけて、蛙は何もかも忘れていた。ものうげに目をあけると、太陽が背中を照らし、柳の枝がすでに芽を出し、草も青々としている。もう春になったのだ。蛙は小川まではっていった。清らかに水がさらさらと流れ、おたまじゃくしが群れをつくっていた。そして蛙を見かけて、「蛙のお兄さん、おはようございます」とあいさつした。蛙はフンとばかりにおたまじゃくしをにらみつけ、「魚でもなければ虫でもないおまえた...
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冬のあいだねむりつづけて、蛙は何もかも忘れていた。ものうげに目をあけると、太陽が背中を照らし、柳の枝がすでに芽を出し、草も青々としている。もう春になったのだ。蛙は小川まではっていった。清らかに水がさらさらと流れ、おたまじゃくしが群れをつくっていた。そして蛙を見かけて、「蛙のお兄さん、おはようございます」とあいさつした。蛙はフンとばかりにおたまじゃくしをにらみつけ、「魚でもなければ虫でもないおまえた...