“酔いガニ漬”に舌つづみ十一月十五日、日曜日。朝起きてみると、外は一面の深い霧におおわれていた。早々に朝食をすませ、荷をととのえたわたしたちは、「水脊」·南旺を後に、ふたたび南下の旅の途についた。前方がかろうじて望まれるだけで、道路の左右両側は、村も田畑もすっぽりと霧につつまれている。自転車のペダルを踏んではいるのだが、まるで雲のなかを漂っているような感じだった。時々、鶏の鳴き声や犬の吠(ほ)え声...
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“酔いガニ漬”に舌つづみ十一月十五日、日曜日。朝起きてみると、外は一面の深い霧におおわれていた。早々に朝食をすませ、荷をととのえたわたしたちは、「水脊」·南旺を後に、ふたたび南下の旅の途についた。前方がかろうじて望まれるだけで、道路の左右両側は、村も田畑もすっぽりと霧につつまれている。自転車のペダルを踏んではいるのだが、まるで雲のなかを漂っているような感じだった。時々、鶏の鳴き声や犬の吠(ほ)え声...