主人が桃の木を左手に、梨の木な右手にして、どこに植えようかと思案していた。「ご主人、私を人がよく往来する大通りのそばに植えて下さいよ」 と桃の木が話しかけた。主人はうなずき、こんどは梨の木に向かって、桃の木と同じ所に植えてもいいかとたずねると、梨の木は首を横に振って、裏庭の隅に植えてほしいと言った。夜になって、人が寝入ると、桃の木が梨の木に謡しかけた。「君はばかだ。そんなものさびしい隅では、いくら...
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主人が桃の木を左手に、梨の木な右手にして、どこに植えようかと思案していた。「ご主人、私を人がよく往来する大通りのそばに植えて下さいよ」 と桃の木が話しかけた。主人はうなずき、こんどは梨の木に向かって、桃の木と同じ所に植えてもいいかとたずねると、梨の木は首を横に振って、裏庭の隅に植えてほしいと言った。夜になって、人が寝入ると、桃の木が梨の木に謡しかけた。「君はばかだ。そんなものさびしい隅では、いくら...