戦国時代(紀元前四七五~前二二一年)中期のことである。策士の蘇秦(そしん)が秦の国(いまの陝西省西部)を訪れ、恵王に説いた。「秦国は物産に富み、人びとは勇敢で戦いに長じ、しかも地の利にもめぐまれております。もし大王が時をうつさず軍勢を函谷関(かんこくかん)からくり出せば、諸侯の国ぐにを併呑(へいどん)し、天下を統一することができましょう。不肖、そのために微力をつくしたいと存じます」秦の恵王は、笑っ...
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戦国時代(紀元前四七五~前二二一年)中期のことである。策士の蘇秦(そしん)が秦の国(いまの陝西省西部)を訪れ、恵王に説いた。「秦国は物産に富み、人びとは勇敢で戦いに長じ、しかも地の利にもめぐまれております。もし大王が時をうつさず軍勢を函谷関(かんこくかん)からくり出せば、諸侯の国ぐにを併呑(へいどん)し、天下を統一することができましょう。不肖、そのために微力をつくしたいと存じます」秦の恵王は、笑っ...