昔、昇進と金もうけしか頭にない男がいて、二人の息子に「昇官」と「発財」と名付け、毎日何回となくその名前を呼んでは、悦に入っていた。大晦日の夜、三人の息子を呼んで言った。「明日はめでたい元日だ、名前を呼んだらすぐ返事をするのだぞ」「分かりました」さて元日、夜があけるやいなや、大きな声で、「昇官!」と呼んだ。長男はちょうど二階から降りてくるところだったので、とっさに、「はい、いま降りて行きます」と答え...
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昔、昇進と金もうけしか頭にない男がいて、二人の息子に「昇官」と「発財」と名付け、毎日何回となくその名前を呼んでは、悦に入っていた。大晦日の夜、三人の息子を呼んで言った。「明日はめでたい元日だ、名前を呼んだらすぐ返事をするのだぞ」「分かりました」さて元日、夜があけるやいなや、大きな声で、「昇官!」と呼んだ。長男はちょうど二階から降りてくるところだったので、とっさに、「はい、いま降りて行きます」と答え...