六月十九日。朝六時にかけておいた目覚し時計がまだ鳴らないうちに、妻と娘、息子は起きていた。家族にとって私が出張するのは、もう別に珍しいことではないのだが、なにしろ、こんどは自転車での遠距離旅行である。そして北京の取材も一段落して、今日からいよいよ本格的に南下するというので、家族たちは、なんとなく名残り惜しい気持ちになったのだろう。「お腹が空いてはペダルを踏めませんよ」こういって家内は玉子を二ついれ...
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六月十九日。朝六時にかけておいた目覚し時計がまだ鳴らないうちに、妻と娘、息子は起きていた。家族にとって私が出張するのは、もう別に珍しいことではないのだが、なにしろ、こんどは自転車での遠距離旅行である。そして北京の取材も一段落して、今日からいよいよ本格的に南下するというので、家族たちは、なんとなく名残り惜しい気持ちになったのだろう。「お腹が空いてはペダルを踏めませんよ」こういって家内は玉子を二ついれ...