冬だ。北風が吹きすさび、大吹雪だ。毛皮のオーバー、防寒帽に身をかためた金持ちは、部屋のなかにとじこもって、いろりばたで火にあたりながら酒を飲む。なん杯か飲むと体じゅうが暖かくなり、ひたいに汗の玉がにじんできた。暑くてたまらない。そこでオーバーのボタンをはずし、帽子をぬいで言った。「今年の冬はこんなに暑くて、天気がどうも異常だね」門のすぐ外で寒さにふるえていた召使が、すぐ答えた。「旦那さま、早くこち...
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冬だ。北風が吹きすさび、大吹雪だ。毛皮のオーバー、防寒帽に身をかためた金持ちは、部屋のなかにとじこもって、いろりばたで火にあたりながら酒を飲む。なん杯か飲むと体じゅうが暖かくなり、ひたいに汗の玉がにじんできた。暑くてたまらない。そこでオーバーのボタンをはずし、帽子をぬいで言った。「今年の冬はこんなに暑くて、天気がどうも異常だね」門のすぐ外で寒さにふるえていた召使が、すぐ答えた。「旦那さま、早くこち...