春秋時代(前七七〇~前四七六)、衛の国の君主懿(いこう)公が、辺境の守備を視察したときのこと。突然はるか先の湿地から鶴の鳴き声が聞こえた。ついで、一群の鶴が飛びたち、衛の国の都の方角に向かって飛び去った。不思議に思った懿公は「鶴が鳴いたり、飛びたったりするのは、どうしたことか」と左右に控えていた大臣に聞いた。大臣のひとりが、かなたを望み見て答えた。「鶴は警報を発したのです。北狄がわれわれを狙ってお...
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春秋時代(前七七〇~前四七六)、衛の国の君主懿(いこう)公が、辺境の守備を視察したときのこと。突然はるか先の湿地から鶴の鳴き声が聞こえた。ついで、一群の鶴が飛びたち、衛の国の都の方角に向かって飛び去った。不思議に思った懿公は「鶴が鳴いたり、飛びたったりするのは、どうしたことか」と左右に控えていた大臣に聞いた。大臣のひとりが、かなたを望み見て答えた。「鶴は警報を発したのです。北狄がわれわれを狙ってお...