農村を巡業する劇団

一ヵ月ほど前のことだ。江蘇省儀征県の劇場にいあわせた私は、地方劇の公演の最中に意外な光景を目にした。その日の芝居は、見ごたえのある、なかなか立派なものだったのだが、劇の途中でヒロインが足をくじいてしまい、あいにく代役が休暇中ということで、公演は一時中止せざるをえなくなってしまった。ふつうなら、この「事故」は、劇団側の責任だから、観客には抗議する理由が充分あるわけだ。ところが、どうだろう。私が目にし...