わたしは、中国の一大西北部に旅行するたびに、有名な盛唐の「辺塞詩人」岑参(しんじん)の佳篇名句が、胸中より躍り出てくる。ことし三月初め、陝西省の省都西安一帯の取材を終えたわたしは、西へ行く汽車で河西回廊へと向ったが、その途中でも、かれの「胡茄(こか)の歌 顔真卿(がんしんけい)の使いして河隴(かろう)に赴(おもむ)くを送る」の詩を黙誦しはじめていた。君不聞胡笳声最悲,紫髯緑眼胡人吹。 吹之一曲猶未...
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わたしは、中国の一大西北部に旅行するたびに、有名な盛唐の「辺塞詩人」岑参(しんじん)の佳篇名句が、胸中より躍り出てくる。ことし三月初め、陝西省の省都西安一帯の取材を終えたわたしは、西へ行く汽車で河西回廊へと向ったが、その途中でも、かれの「胡茄(こか)の歌 顔真卿(がんしんけい)の使いして河隴(かろう)に赴(おもむ)くを送る」の詩を黙誦しはじめていた。君不聞胡笳声最悲,紫髯緑眼胡人吹。 吹之一曲猶未...