西太后と栗窩頭清の光緒二十六年(一九〇〇年)八ヵ国連合軍が北京に攻め入ると、時の権力者、西太后はあたふたと西安まで逃げのびるが、道中腹をすかし料理人に、何か食するものはないか、と下問した。老仏爺(ほとけさま。西太后は召使たちに自分のことをこう呼ばせた)は、平生、毎回の食事に百何十種類の料理をそろえさせる。だが、この戦乱のどさくさの時に、そんな食事を差し上げることなどできたものではない―考えあぐねた...
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西太后と栗窩頭清の光緒二十六年(一九〇〇年)八ヵ国連合軍が北京に攻め入ると、時の権力者、西太后はあたふたと西安まで逃げのびるが、道中腹をすかし料理人に、何か食するものはないか、と下問した。老仏爺(ほとけさま。西太后は召使たちに自分のことをこう呼ばせた)は、平生、毎回の食事に百何十種類の料理をそろえさせる。だが、この戦乱のどさくさの時に、そんな食事を差し上げることなどできたものではない―考えあぐねた...