本来詩人ではないのに、特定の歴史的状況に遭遇しておもわず口ばしった即興的作品が千古の絶唱となる―中国文学史上、このような事例は少なからず見受けられる。戦国時代(前四七五~前二二一)末期に出現した燕国の義士荊軻(けいか)の「易水の歌」は、そのきわだった例であろう。風蕭蕭兮易水寒, 壮士一去兮不復還! 風蕭々(しようしよう)として易水(えきすい)寒し 壮士一(ひと)たび去って復還(またかえ)らず秦王を...
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本来詩人ではないのに、特定の歴史的状況に遭遇しておもわず口ばしった即興的作品が千古の絶唱となる―中国文学史上、このような事例は少なからず見受けられる。戦国時代(前四七五~前二二一)末期に出現した燕国の義士荊軻(けいか)の「易水の歌」は、そのきわだった例であろう。風蕭蕭兮易水寒, 壮士一去兮不復還! 風蕭々(しようしよう)として易水(えきすい)寒し 壮士一(ひと)たび去って復還(またかえ)らず秦王を...