宋慶齢さんの病いが重いという廖承志さんからの電報を受け取ったのが五月二十二日。取るものも取りあえず手続きをとり、二十五日に北京へ立つ。友好賓館に旅装を解くと、間もなく廖承志さんが迎えに見え、直ちに什刹海の近くの宋慶齢さんのお宅へ急ぐ。宋慶齢さんは二階の静かな病室に横たわっておられ、表情は穏やかで、懐しい福よかなお顔は安らかに見えたが、なにしろ三十九度から四十度の高熱であり、九十歳の高齢なので、一刻...
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宋慶齢さんの病いが重いという廖承志さんからの電報を受け取ったのが五月二十二日。取るものも取りあえず手続きをとり、二十五日に北京へ立つ。友好賓館に旅装を解くと、間もなく廖承志さんが迎えに見え、直ちに什刹海の近くの宋慶齢さんのお宅へ急ぐ。宋慶齢さんは二階の静かな病室に横たわっておられ、表情は穏やかで、懐しい福よかなお顔は安らかに見えたが、なにしろ三十九度から四十度の高熱であり、九十歳の高齢なので、一刻...