幼いころから古詩に接してはいたが、おうむ返しに暗誦するだけで、意味のほどはよく理解できなかったし、また理解しようともしなかったものだ。そんな私が、生かじりに覚えた最初の詩が、唐の詩人張継(ちようけい)の「楓橋夜泊」であった。月落烏暗霜満天,江楓漁火対愁眠, 姑蘇城外寒山寺,夜半鐘声到客船。月落(つきお)ち烏啼(からすな)いて霜天(しもてん)に満(み)つ...
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幼いころから古詩に接してはいたが、おうむ返しに暗誦するだけで、意味のほどはよく理解できなかったし、また理解しようともしなかったものだ。そんな私が、生かじりに覚えた最初の詩が、唐の詩人張継(ちようけい)の「楓橋夜泊」であった。月落烏暗霜満天,江楓漁火対愁眠, 姑蘇城外寒山寺,夜半鐘声到客船。月落(つきお)ち烏啼(からすな)いて霜天(しもてん)に満(み)つ...