今月号の古文物欄(グラフ)に紹介するのは、奔鹿文注子である。器の高さは一八·五センチ、腹径は一二センチ。「注子」とは古代の茶器の「壺」、つまり急須のことだが、唐·宋の時代(六一八~一二七九)には壺とよばず、「注子」とか「偏提」とかよぶのがならわしであった。注子のもともとの形は注ぎ口のついた罐(かん)(円筒状のウツワ)であった。それは、ふくらんだ胴に短い頸をもち、すでに実用的価値を失った耳がついてい...
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今月号の古文物欄(グラフ)に紹介するのは、奔鹿文注子である。器の高さは一八·五センチ、腹径は一二センチ。「注子」とは古代の茶器の「壺」、つまり急須のことだが、唐·宋の時代(六一八~一二七九)には壺とよばず、「注子」とか「偏提」とかよぶのがならわしであった。注子のもともとの形は注ぎ口のついた罐(かん)(円筒状のウツワ)であった。それは、ふくらんだ胴に短い頸をもち、すでに実用的価値を失った耳がついてい...