二、長城と十三陵五月二日。朝の五時半に目を覚し、窓のカーテンを引く。北京の、復興門外大街に臨む燕京飯店六階の部屋である。深く眠ったと思う。わたしたちのこれからの長い旅の第一夜でもある。北京もまた目覚めたばかりなのか。朝明けの街は白々と乾き、その通りを、街路樹を吹き撓ませながら風が吹きとよむ。風が強いようである。白い、大型のトロリーバスが来ては人を乗せ、また、自転車の列がしきりにつづく。みな、灰色と...
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二、長城と十三陵五月二日。朝の五時半に目を覚し、窓のカーテンを引く。北京の、復興門外大街に臨む燕京飯店六階の部屋である。深く眠ったと思う。わたしたちのこれからの長い旅の第一夜でもある。北京もまた目覚めたばかりなのか。朝明けの街は白々と乾き、その通りを、街路樹を吹き撓ませながら風が吹きとよむ。風が強いようである。白い、大型のトロリーバスが来ては人を乗せ、また、自転車の列がしきりにつづく。みな、灰色と...