今月は、「松渓放艇図」―元代の山水をみていただこう。清渓に小舟が浮かんでいる。舟中では一人の童子が櫓をあやつり、ほかに遊客二人が相対して、大自然の中の清談に余念がない。手前右手の崖からは怪石が突き出て、そこから、わだかまる竜にも似た老松が生えている。舟は静かに水脈(みお)を切って進み、はるか遠景には雲霧の中に山峰が重なっている。―作者自ら画意を表わして題した七言絶句は、こう読める。醜石(怪石)は ...
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今月は、「松渓放艇図」―元代の山水をみていただこう。清渓に小舟が浮かんでいる。舟中では一人の童子が櫓をあやつり、ほかに遊客二人が相対して、大自然の中の清談に余念がない。手前右手の崖からは怪石が突き出て、そこから、わだかまる竜にも似た老松が生えている。舟は静かに水脈(みお)を切って進み、はるか遠景には雲霧の中に山峰が重なっている。―作者自ら画意を表わして題した七言絶句は、こう読める。醜石(怪石)は ...