路（みち）（三）

これは嵐にほんろうされたある女性と若い研究者の物語である。進退きわまった彼女の一家に、救いの手がさしのべられたのであったが……。恩人メーデーが過ぎた。鄭芳が出勤してみると、研究所の構内は、ところかまわず、大字報やスローガンが貼り出されていた。「断固、簡躍峰反革命集団を打倒せよ！」「簡躍峰が投降しなければ、撃滅せよ！」ふだん彼と接触の多かった研究者は、一人のこらず「隔離」されていた。所内の人びとは、...