はじめて唐へ紀元七一七年九月のある日、唐の国都長安の郊外には、いろとりどりの旗がはためき、奏楽の音がひびいていた。大海を渡って到着した日本の使者を迎えるためである。使者とは、第九回遣唐押使多治比県守(たじひのあがたちり)およびその随行員であった。この一行は盛大な歓迎式のあと、にしきの旗でかざった美しい山車(だし)で、ゆるゆると繁華な都に入った。多治比県守の一行の中に、阿倍仲麻呂、吉備真備、玄昉(げ...
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はじめて唐へ紀元七一七年九月のある日、唐の国都長安の郊外には、いろとりどりの旗がはためき、奏楽の音がひびいていた。大海を渡って到着した日本の使者を迎えるためである。使者とは、第九回遣唐押使多治比県守(たじひのあがたちり)およびその随行員であった。この一行は盛大な歓迎式のあと、にしきの旗でかざった美しい山車(だし)で、ゆるゆると繁華な都に入った。多治比県守の一行の中に、阿倍仲麻呂、吉備真備、玄昉(げ...