はるか昔のことである。西湖(せいこ)のほとりは宝石山のふもとに、小さな村があった。その村に年若い夫婦があって、男を劉春(りゆうしゆん)、女を慧娘(けいじよう)といった。男は田をたがやし、女ははたをおり、毎日をあまくつましくくらしておった。近在(きんざい)の村びとたちの評判もよかった。きょうも、東の空が朝もやにかすみ、赤い太陽が静かにのぼってきた。劉春はくわをかついで田んぼに出、慧娘は糸をそろえては...
Please login first!
はるか昔のことである。西湖(せいこ)のほとりは宝石山のふもとに、小さな村があった。その村に年若い夫婦があって、男を劉春(りゆうしゆん)、女を慧娘(けいじよう)といった。男は田をたがやし、女ははたをおり、毎日をあまくつましくくらしておった。近在(きんざい)の村びとたちの評判もよかった。きょうも、東の空が朝もやにかすみ、赤い太陽が静かにのぼってきた。劉春はくわをかついで田んぼに出、慧娘は糸をそろえては...