西安を発ち、渭河の渓谷ぞいに西行する。急流が時には車窓の左を、時には右を走る。狭く深い渓谷のかたわらを小径がどこまでも続く。濁流とそれに沿う小径を眺めて、ふと思った。「これは唐代の高僧玄奘が経巻を招来するため西行したとき通った道ではなかろうか。漢代の張騫(ちようけん)が西域へ向う途中、馬に水を飲ませたのはこの河ではなかろうか」列車はいくつものトンネルを抜け、鉄橋を渡り、渓谷をめぐるようにして登って...
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西安を発ち、渭河の渓谷ぞいに西行する。急流が時には車窓の左を、時には右を走る。狭く深い渓谷のかたわらを小径がどこまでも続く。濁流とそれに沿う小径を眺めて、ふと思った。「これは唐代の高僧玄奘が経巻を招来するため西行したとき通った道ではなかろうか。漢代の張騫(ちようけん)が西域へ向う途中、馬に水を飲ませたのはこの河ではなかろうか」列車はいくつものトンネルを抜け、鉄橋を渡り、渓谷をめぐるようにして登って...