一厳冬の十二月のある日。昼ごろのことである。身を切るような西北風に運ばれてきた雪の花は、はてしない空を狂い舞い、旋回しては広漠たる砂漠に吸いつけられるように落ちる。かと思うと、それはたちまち烈風に巻き上げられ波濤となって、前へ、前へとつき進んでゆく。かなたには、雄大なボグダ峰が銀色の輪郭をかすかに見せている。ある鉄道建設現場のテントの中では、ストーブが燃えさかり、たばこの煙が立ちこめている。緊急生...
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一厳冬の十二月のある日。昼ごろのことである。身を切るような西北風に運ばれてきた雪の花は、はてしない空を狂い舞い、旋回しては広漠たる砂漠に吸いつけられるように落ちる。かと思うと、それはたちまち烈風に巻き上げられ波濤となって、前へ、前へとつき進んでゆく。かなたには、雄大なボグダ峰が銀色の輪郭をかすかに見せている。ある鉄道建設現場のテントの中では、ストーブが燃えさかり、たばこの煙が立ちこめている。緊急生...