一鉄道労働者の家に生まれたせいか、ぼくはむしょうに鉄橋が好きなのだ。で、架橋隊の連絡員になれといわれたときのうれしさ、その夜はもう朝までまんじりともできなかったくらいだ。翌朝になると、カーキ色の軍帽をかぶり、荷物をせおい、そして、いちばん大切にしているカバン―ぼくの好きな数冊の小説と原稿用紙がそれには入っているのだが―を肩にかけ、いそいそと架橋隊の主任に会いにいった。主任はぼくの顔を見ると、うれし...
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一鉄道労働者の家に生まれたせいか、ぼくはむしょうに鉄橋が好きなのだ。で、架橋隊の連絡員になれといわれたときのうれしさ、その夜はもう朝までまんじりともできなかったくらいだ。翌朝になると、カーキ色の軍帽をかぶり、荷物をせおい、そして、いちばん大切にしているカバン―ぼくの好きな数冊の小説と原稿用紙がそれには入っているのだが―を肩にかけ、いそいそと架橋隊の主任に会いにいった。主任はぼくの顔を見ると、うれし...