太行山(タイハンシヤン)の南がわのふもと、壺関(フークワン)と陵川(リンチワン)の境に、一〇〇所帯ばかりの常行村(チヤンハン)という村がある。その村は、三方を山にかこまれていたが、東南の方角にはいくらかの平地があった。夏から秋にはいると、なつめや柿が山をうずめ、畑の穀物も谷間によい香りをただよわせた。その山間の地面をくわで二、三回掘ると、石炭が出るのだった。村の老人たちの話によると、むかしここで石...
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太行山(タイハンシヤン)の南がわのふもと、壺関(フークワン)と陵川(リンチワン)の境に、一〇〇所帯ばかりの常行村(チヤンハン)という村がある。その村は、三方を山にかこまれていたが、東南の方角にはいくらかの平地があった。夏から秋にはいると、なつめや柿が山をうずめ、畑の穀物も谷間によい香りをただよわせた。その山間の地面をくわで二、三回掘ると、石炭が出るのだった。村の老人たちの話によると、むかしここで石...