働くものの世の中に太陽の光がまだあたらないむかしのことです。チベットのヤーロン川のほとりにムーチェククという若ものとその母親が住んでいました。ふたりは地主のヤリカンコの土地を耕して暮らしをたてていたのですが、朝から晩までまるでくつわをはめられた馬のように、働きづめでした。だが、こんなに善良で勤勉なふたりに、おおかみのような地主はいつも目をらんらんと光らせていました。この母子の苦しみを話そうものなら...
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働くものの世の中に太陽の光がまだあたらないむかしのことです。チベットのヤーロン川のほとりにムーチェククという若ものとその母親が住んでいました。ふたりは地主のヤリカンコの土地を耕して暮らしをたてていたのですが、朝から晩までまるでくつわをはめられた馬のように、働きづめでした。だが、こんなに善良で勤勉なふたりに、おおかみのような地主はいつも目をらんらんと光らせていました。この母子の苦しみを話そうものなら...