むかし、北方の草原に何代も続いた王がいました。見渡すかぎりの、はてしない草原はみな王のものでした。牛や羊はかぞえきれないほど多く、奴隷は何百人といましたし、その上兵隊までおり、お金はありあまって勢力をほしいままにしていました。そして、人びとを、生かすも殺すも王の手ひとつにありました。ですから人びとは重苦しくおしひしがれた毎日をすごしていました。王の奴隷のなかに、バートルという若ものがいました。がっ...
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むかし、北方の草原に何代も続いた王がいました。見渡すかぎりの、はてしない草原はみな王のものでした。牛や羊はかぞえきれないほど多く、奴隷は何百人といましたし、その上兵隊までおり、お金はありあまって勢力をほしいままにしていました。そして、人びとを、生かすも殺すも王の手ひとつにありました。ですから人びとは重苦しくおしひしがれた毎日をすごしていました。王の奴隷のなかに、バートルという若ものがいました。がっ...