ながい汽笛をひびかせながら二八〇号旅客列車は、瀋陽(シエンヤン)から五〇キロほど離れたこのあまり大きくもない駅に停車した。列車からひとりの老人が降りたったが、足が不自由なようすで、杖をたよりによたよたと歩きはじめた。これをみつけた駅員の楊淑蘭(ヤンシユウラン)さんは、「おじいさん、おぶってあげましょう……」といそいで駆けよった。老人はちょっと考えていたが、「あんたには無理じゃろう」といった。この若...
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ながい汽笛をひびかせながら二八〇号旅客列車は、瀋陽(シエンヤン)から五〇キロほど離れたこのあまり大きくもない駅に停車した。列車からひとりの老人が降りたったが、足が不自由なようすで、杖をたよりによたよたと歩きはじめた。これをみつけた駅員の楊淑蘭(ヤンシユウラン)さんは、「おじいさん、おぶってあげましょう……」といそいで駆けよった。老人はちょっと考えていたが、「あんたには無理じゃろう」といった。この若...