翟生(チヤイシヨン)のおっかさんは、ねんぶつ三昧の暮らしをしていた。朝から晩まで南無阿彌陀仏をくりかえして、なにも手につかないので、翟生はいくども、一日中となえないでくれとたのんだが、おっかさんのねんぶつはいっこうにやみそうにない。あるとき、短生がわざと大声でおっかさんを呼ぶと、へんじだけはきこえたが一向にやってくるようすもない。そこで二度、三度……と、くりかえして呼ぶと、おっかさんははらをたてて...
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翟生(チヤイシヨン)のおっかさんは、ねんぶつ三昧の暮らしをしていた。朝から晩まで南無阿彌陀仏をくりかえして、なにも手につかないので、翟生はいくども、一日中となえないでくれとたのんだが、おっかさんのねんぶつはいっこうにやみそうにない。あるとき、短生がわざと大声でおっかさんを呼ぶと、へんじだけはきこえたが一向にやってくるようすもない。そこで二度、三度……と、くりかえして呼ぶと、おっかさんははらをたてて...