一九六三年の夏、日本作家代表団として、私としては三度目の訪中の機会に恵まれた。仲間は大原富枝、三宅艶子、城山三郎、佐藤純子の諸氏の同勢五人、劇作家陳白塵先生の御案内で、滞留一ヵ月のあいだ、私たちは悠然として細心なることまさに陳先生のお人柄の如くであるところの旅を十二分に楽しむことができた。昼寝は毎日十分にとり、しかもあとで残念がるような見落しは一つもない旅を、という意味だ。今、時は既に冬になって、...
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一九六三年の夏、日本作家代表団として、私としては三度目の訪中の機会に恵まれた。仲間は大原富枝、三宅艶子、城山三郎、佐藤純子の諸氏の同勢五人、劇作家陳白塵先生の御案内で、滞留一ヵ月のあいだ、私たちは悠然として細心なることまさに陳先生のお人柄の如くであるところの旅を十二分に楽しむことができた。昼寝は毎日十分にとり、しかもあとで残念がるような見落しは一つもない旅を、という意味だ。今、時は既に冬になって、...