ひるすぎ、荷物をつんだ四頭だての馬車が、連隊本部を出発した。御者は肩につぎの当ったふるい綿入れ上着を着こみ、破れかかった毛皮の防寒帽をかぶっている。下におろした帽子の耳あてが、しきりと風にあおられている。その浅黒い顔は、ふるい軍服がよく似合い、いっそうがんじょうでたくましく見える。正門を出てから御者の兵士が荷車に立って鞭をあてると、馬車は大道ぞいに、副業基地をめざして駆けはじめた。そのとき、御者の...
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ひるすぎ、荷物をつんだ四頭だての馬車が、連隊本部を出発した。御者は肩につぎの当ったふるい綿入れ上着を着こみ、破れかかった毛皮の防寒帽をかぶっている。下におろした帽子の耳あてが、しきりと風にあおられている。その浅黒い顔は、ふるい軍服がよく似合い、いっそうがんじょうでたくましく見える。正門を出てから御者の兵士が荷車に立って鞭をあてると、馬車は大道ぞいに、副業基地をめざして駆けはじめた。そのとき、御者の...