むかし、東方の海岸に胡四(フースー)という名の漁師がおりました。十歳を過ぎたころから海へ出て漁をするようになり、もう二十何年も魚をとって暮らしていました。胡四がいままでにとった魚をつみあげたら小山よりも高くなったでしょう。けれども彼はたいへん貧しくて、その日暮しをしていました。魚をとって暮らしているというのに、小舟はおろか、網さえもっていませんでした。毎日海へゆくときは、網元から舟をかりてゆきまし...
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むかし、東方の海岸に胡四(フースー)という名の漁師がおりました。十歳を過ぎたころから海へ出て漁をするようになり、もう二十何年も魚をとって暮らしていました。胡四がいままでにとった魚をつみあげたら小山よりも高くなったでしょう。けれども彼はたいへん貧しくて、その日暮しをしていました。魚をとって暮らしているというのに、小舟はおろか、網さえもっていませんでした。毎日海へゆくときは、網元から舟をかりてゆきまし...