宋の時代に、田登(テントン)という州官がいた。この州官は人から自分の名前を呼ばれるのをひどくいみ嫌い、はては、登(トン)と同音のことばを口にされることさえ毛嫌いした。そこでしもじものものは、灯(トン)をともすときにも〈点灯〉(テントン)とは言わず、〈点火〉(テンホー)と言った。正月十五日の元宵節がきたので、県のお役所では恒例により庶民の〈放灯〉(提灯を出すの意)をゆるすふれを出すことになったが、〈...
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宋の時代に、田登(テントン)という州官がいた。この州官は人から自分の名前を呼ばれるのをひどくいみ嫌い、はては、登(トン)と同音のことばを口にされることさえ毛嫌いした。そこでしもじものものは、灯(トン)をともすときにも〈点灯〉(テントン)とは言わず、〈点火〉(テンホー)と言った。正月十五日の元宵節がきたので、県のお役所では恒例により庶民の〈放灯〉(提灯を出すの意)をゆるすふれを出すことになったが、〈...