期待される若手棋士　陳祖徳君

上海（シヤンハイ）市体育クラブでは、中日両国の棋士が盤をはさんで熱戦をつづけていた。時をきざむ秒針と、盤におかれる石の音のほかには何ひとつ物音のしないその広間で、中国の陳祖徳（チエンツウトー）君（十九歳）と日本の桑原宗久七段の一戦がいましも複雑な局面をみせているのである。黒の陳君は慎重なかまえで、まず右下と左上のすみに着手したが、老練な桑原七段はぐんぐん攻勢に出、五〇手あまり打ちすすんだころには、...