むかし、ある文人、家が貧しいのに、人前では、いかにも金持ちらしくふるまっていた。ひとりのぬすびとがそのさまを見て、良いカモだと目ぼしをつけた。さて、ある夜、ぬすびとが文人の家にしのびこんだが、家の中はガランとして何ひとつない。ぬすびとは腹をたてて、あたりかまわず大声でののしりながら帰りかけた。くだんの文人はその声に目をさまして、肌身はなさず持っていた穴あき銅銭をいそいでとりだし、ぬすびとのあとを追...
Please login first!
むかし、ある文人、家が貧しいのに、人前では、いかにも金持ちらしくふるまっていた。ひとりのぬすびとがそのさまを見て、良いカモだと目ぼしをつけた。さて、ある夜、ぬすびとが文人の家にしのびこんだが、家の中はガランとして何ひとつない。ぬすびとは腹をたてて、あたりかまわず大声でののしりながら帰りかけた。くだんの文人はその声に目をさまして、肌身はなさず持っていた穴あき銅銭をいそいでとりだし、ぬすびとのあとを追...