唐(六一八~九〇七年)の時代、李林甫(リーリンフー)という大官がいた。李は皇帝のきげんをとる一方、よからぬやりかたで皇帝の側近や妃にとりいって、皇帝の寵をうけていた。李林甫は人に会えば愛想よく、いつも人を喜ばせるような話をした。ところが、実のところ、李林甫は悪がしこく、陰険な人間で、つねにかげにまわっては人をおとしいれていた。日がたつにつれ、かれの本性を知るようになった人びとは、〈口に蜜あり、腹に...
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唐(六一八~九〇七年)の時代、李林甫(リーリンフー)という大官がいた。李は皇帝のきげんをとる一方、よからぬやりかたで皇帝の側近や妃にとりいって、皇帝の寵をうけていた。李林甫は人に会えば愛想よく、いつも人を喜ばせるような話をした。ところが、実のところ、李林甫は悪がしこく、陰険な人間で、つねにかげにまわっては人をおとしいれていた。日がたつにつれ、かれの本性を知るようになった人びとは、〈口に蜜あり、腹に...