去年の秋のある朝。甘粛(カンスウ)省の蘭州(ランチヨウ)から内蒙古(ネイモンクー)の包頭(バオトウ)へ向かう列車が中間駅―集水駅(チーシユイ)にすべりこんだ。下車した人びとのなかに、老いた妻とふたりの若者をつれた老人の姿がまじっていた。老人は、重い荷物とトランクをプラットホームにおくと、高い路盤の上に立ってあたりをながめていたが、「変わってしまった、どの道すじじゃろう」とつぶやいた。ぼんやりたたず...
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去年の秋のある朝。甘粛(カンスウ)省の蘭州(ランチヨウ)から内蒙古(ネイモンクー)の包頭(バオトウ)へ向かう列車が中間駅―集水駅(チーシユイ)にすべりこんだ。下車した人びとのなかに、老いた妻とふたりの若者をつれた老人の姿がまじっていた。老人は、重い荷物とトランクをプラットホームにおくと、高い路盤の上に立ってあたりをながめていたが、「変わってしまった、どの道すじじゃろう」とつぶやいた。ぼんやりたたず...