漢の時代にひとりの老人がいた。金持ちのくせにひどいけちん坊だった。あるとき、となりの主人が金に困って借りにきた。老人はにがい顔をしてへやにはいり、一文銭を一〇コとりだしはしたものの、みればみるほど惜しくてたまらぬ。玄関までひきかえすあいだに九文、八文、七文とへらし、さいごに手のひらにのこったのはたったの一文。老人は思いきったというふうに手をのばし、「持っていきなされ、あんたのために、わしゃもうすっ...
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漢の時代にひとりの老人がいた。金持ちのくせにひどいけちん坊だった。あるとき、となりの主人が金に困って借りにきた。老人はにがい顔をしてへやにはいり、一文銭を一〇コとりだしはしたものの、みればみるほど惜しくてたまらぬ。玄関までひきかえすあいだに九文、八文、七文とへらし、さいごに手のひらにのこったのはたったの一文。老人は思いきったというふうに手をのばし、「持っていきなされ、あんたのために、わしゃもうすっ...