いつも仕事がひけると、所帶持ちはほとんど家に帰ってしまい、おれと師匠の順(シユン)おやじだけが夜の白むころからビクやつりざおを持って、うちの炭鉱(やま)から一里ばかりはなれた柳毛河(リユウマオホー)に出かける。そこは水の青々としたきれいな川だ。おれがはじめてついていったときおやじは、「この川は広くて、魚も大きいのがいるが、ながめもよい。魚つりは、つった魚を口に入れるというより、魚つりの気分をたのし...
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いつも仕事がひけると、所帶持ちはほとんど家に帰ってしまい、おれと師匠の順(シユン)おやじだけが夜の白むころからビクやつりざおを持って、うちの炭鉱(やま)から一里ばかりはなれた柳毛河(リユウマオホー)に出かける。そこは水の青々としたきれいな川だ。おれがはじめてついていったときおやじは、「この川は広くて、魚も大きいのがいるが、ながめもよい。魚つりは、つった魚を口に入れるというより、魚つりの気分をたのし...