むかし、イェンラオ山のふもとに、モロンというひろびろとした草原があった。清らかな水がながれ、牧草のゆたかにはえそろったこの草原には、働きもののチベット族の牧人たちが住んでいた。牧人の子のトンチュと牧人の娘のチョマは、大の仲よしだった。いつもいっしょに野花をつみ、きのこをとり、歌をうたった。牛や羊をつれてゆくのもおなじ場所だった。ある日、ふたりが草原で羊の番をしていると、とつぜん遠くから一匹の馬が走...
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むかし、イェンラオ山のふもとに、モロンというひろびろとした草原があった。清らかな水がながれ、牧草のゆたかにはえそろったこの草原には、働きもののチベット族の牧人たちが住んでいた。牧人の子のトンチュと牧人の娘のチョマは、大の仲よしだった。いつもいっしょに野花をつみ、きのこをとり、歌をうたった。牛や羊をつれてゆくのもおなじ場所だった。ある日、ふたりが草原で羊の番をしていると、とつぜん遠くから一匹の馬が走...