ある家にふたりの兄弟がいました。兄はずるくて横着で怠け者、弟はまじめで律儀で働き者でした。家には黒牛が一頭おりました。弟は牛をいたわるので、牛も弟のいうことをよくきいて、畑を耕すときなどはしるようにすきをひっぱってくれました。何年かたったある日、兄弟はいちどにふた親をなくしました。兄弟は泣く泣く野辺のおくりをし、やがて三七二十一日の忌みもあけました。ちょうど忌み明けの日の晩でした。弟が寝ているとこ...
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ある家にふたりの兄弟がいました。兄はずるくて横着で怠け者、弟はまじめで律儀で働き者でした。家には黒牛が一頭おりました。弟は牛をいたわるので、牛も弟のいうことをよくきいて、畑を耕すときなどはしるようにすきをひっぱってくれました。何年かたったある日、兄弟はいちどにふた親をなくしました。兄弟は泣く泣く野辺のおくりをし、やがて三七二十一日の忌みもあけました。ちょうど忌み明けの日の晩でした。弟が寝ているとこ...