三伏の一日、約束の三時半におくれまいと、うだるような北京の街を車をとばせて、東城区東総布胡同の中国作家協会の接待所へむかった。日本でも多くの人によまれた『林海雪原』の著者にあうためである。カンナや、むくげや、夾竹桃が暑そうに咲いている中庭を突っきって、応接室につくと、小柄な青年が、陽焼けした顔に、まっ白い歯で、笑みかがやきながら、足ばやにやってきて、両手で僕の右手をしっかりと包んだ。このキビキビし...
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三伏の一日、約束の三時半におくれまいと、うだるような北京の街を車をとばせて、東城区東総布胡同の中国作家協会の接待所へむかった。日本でも多くの人によまれた『林海雪原』の著者にあうためである。カンナや、むくげや、夾竹桃が暑そうに咲いている中庭を突っきって、応接室につくと、小柄な青年が、陽焼けした顔に、まっ白い歯で、笑みかがやきながら、足ばやにやってきて、両手で僕の右手をしっかりと包んだ。このキビキビし...