「紅旗譜」―小説から銀幕へ

滹沱河（ホウトオホー）がすさまじい音をたてて流れている。はてしない土手の柳の木立ちのなかで数人の怪しい人かげが、人目をはばかりながら、大鎚をふるつて古びた大鐘をたたきこわそうとしている。「まてーツ」天地もくずれるほどの声がして、ギラつくかいば切りの大刀をひつさげた朱老鞏（チユーラオクン）が土手の上に猛然とかけあがつてくる。「この鐘に指一本でもふれて見ろ、わしのこの刀がものを言うぞツ」「じやまだてす...