むかし、町から数十華里はなれたところに、天までとどきそうな山々にかこまれ、山の麓には谷川が流れ、その両岸に二〇〇戸ばかり人家のある村がありました。この村には働きものが大勢いて、この痩せた土地を耕してりつぱな田畑をつくり、ふだんの年はいつものどかにくらしていました。ある年のことでした。端午の節句の日からずつとおてんと様が雨を一しずくも降らさないことがありました。村のまんなかを流れている小川はからから...
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むかし、町から数十華里はなれたところに、天までとどきそうな山々にかこまれ、山の麓には谷川が流れ、その両岸に二〇〇戸ばかり人家のある村がありました。この村には働きものが大勢いて、この痩せた土地を耕してりつぱな田畑をつくり、ふだんの年はいつものどかにくらしていました。ある年のことでした。端午の節句の日からずつとおてんと様が雨を一しずくも降らさないことがありました。村のまんなかを流れている小川はからから...