ある初秋の朝のことだ。わたしと数人の農学者をのせた車は、河南(ホーナン)省の漯西(ローシー)自動車道路を疾駆していた。窓外をながめると、緑一色の畑ははてしなくつづいて、まるで海原のようである。このぶんなら、ことしの豊作はまちがいあるまい。やがて西華(シーホワ)県の西夏亭(シーシヤテイン)村にさしかかると、道路の両側に目もはるかな防風林があらわれ、緑のあいまに赤い屋根の建物が見えかくれする。しだいに...
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ある初秋の朝のことだ。わたしと数人の農学者をのせた車は、河南(ホーナン)省の漯西(ローシー)自動車道路を疾駆していた。窓外をながめると、緑一色の畑ははてしなくつづいて、まるで海原のようである。このぶんなら、ことしの豊作はまちがいあるまい。やがて西華(シーホワ)県の西夏亭(シーシヤテイン)村にさしかかると、道路の両側に目もはるかな防風林があらわれ、緑のあいまに赤い屋根の建物が見えかくれする。しだいに...