「天国」と地獄

久しく不景気の暗雲にとざされ、くらい陰うつな気分に沈んでいたニユーヨークに、ちかごろ、突如として二つのブームが吹きまくつた。それは、ウオール街の株式市場における軍需株の買い漁りと湯水のごとく散財する百万長者の豪奢な馬鹿さわぎだ。ニユーヨークの軍需株の暴とうは、ケネデイ政府の「徳政」のひとつである。ペンタゴン（米国防省）を命の綱とする死の商人たちが、随喜の涙をこぼして、「商賣繁昌、もうけはざくざく」...